○下郷町議会基本条例
令和3年9月27日条例第14号
下郷町議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 町民と議会の関係(第4条―第5条)
第3章 町長等と議会及び議員の関係(第6条―第9条)
第4章 討論の拡大(第10条)
第5章 委員会の活動(第11条・第12条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第13条―第16条)
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第17条―第19条)
第8章 最高規範性と見直し手続き(第20条―第22条)
附則
下郷町議会(以下「議会」という。)は、地方自治の進展をはかるために、町民並びに行政との信頼関係、協働の精神が不可欠である。また、町民の意思を行政に反映する議会は、町民と身近に接した代表機関であり、町の意思決定機関である。町民から選ばれた議会と町長という町の二つの代表機関は、二元代表制のもと、ともに町民の信託を受け、対等な関係のもとに相互の抑制と均衡を図らなければならない。そして、その一翼を担う議会及び議員は、住民代表としての自覚と見識を持ち、町民の生命財産を守り、福祉の向上と町勢の発展に努めなければならない。
また、議会は、自由かっ達な討議を通じて、これらの使命を達成するため、町民への積極的な議会の情報公開、議会における政策活動への町民参加の推進、議員の研さんと資質の向上、公平性と透明性の確保、議会活動を支える体制の整備等について、自己決定と自己責任の地方主権にふさわしい議会運営の最高規範となる「下郷町議会基本条例」を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、議会及び議員に係る基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく町民の負託に的確に応え、もって町民の生命・財産を守り、福祉の向上及び町勢の発展と、町政の情報公開と町民参加を基本にした、下郷町の持続的で豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
(議会の活動原則)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 町民を代表する議決機関であることを常に自覚し、公平性、透明性及び信頼性を重視して、町長等執行機関(以下「町長等」という。)の行政運営状況を監視し評価すること。
(2) 町民の多様な意見を把握して行政に反映させるため、町民参加の機会の確保に努めること。
(3) 把握した町民の多様な意見をもとに、町民の生命・財産を守り、福祉の向上と町勢の発展に寄与する政策を立案し提言に努めること。
(4) 町民に開かれた議会を目指して情報公開に取り組むとともに、町民に対して議会の議決又は運営についてその経緯及び理由等を説明する責任を果たすこと。
(5) 町民の傍聴の意欲が高まる議会運営に努めること。
2 議会は、正副議長の選出に当たり、本会議又は全員協議会においてそれぞれの職を志願する者に対して所信を表明する機会を設け、その選出の過程を町民に明らかにしなければならない。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 議員は、議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議を重んじ活用すること。
(2) 行政全般についての課題及び町民の意見、要望を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんに努め、町民の代表としてふさわしい活動をすること。
(3) 議会の構成員として、一部の団体及び地域の代表にとどまらず、町民の生命・財産を守り、福祉の向上を目指して活動すること。
(4) 議員は、高い倫理的義務が課せられていることを常に自覚し、町民の代表として、良心と責任感を持ってその責務を果たすとともに、品位を保持し、識見を養うよう努めて活動すること。
第2章 町民と議会の関係
(町民参加及び町民との連携)
第4条 議会は、町民に対し議会の活動に関する情報を積極的に公開し、情報の共有を推進するとともに、説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、すべての会議を原則公開とする。
3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2に規定する学識経験者等による専門的調査の活用並びに法第115条第1項に規定する公聴会制度及び同条第2項に規定する参考人制度を活用して町民等の意見等を聴き、議会の政策の立案に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を町民による政策提案と位置づけ、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けるよう努めるものとする。
5 議会は、議案に対する各議員の意思を議会広報で公表する等、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。
(一般会議)
第5条 議会は、町民、町民団体等との意見交換の場を設け、議会及び議員の政策能力を強化し、町民と議会が積極的に政策提案できるような協働を目指して、政策提案の拡大に努めるものとする。
第3章 町長等と議会及び議員の関係
(緊張感の保持)
第6条 議会審議において、議員及び町長等は、緊張感の保持に努めなければならない。
2 議会の一般質問は、広く行政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。
3 町長等は、議員の質問に対して、議長の許可を得て反問することができる。
(重要政策の審議)
第7条 町長等は、総合計画、公共事業計画その他重要な政策を決定するときは、あらかじめ議会の意見を聴くよう努めなければならない。
2 町長等は、議会の議決を得るべき政策等を提案し、又は前項の規定に基づいて意見を聴こうとするときは、次に掲げる事項が明らかになるよう努めなければならない。
(1) 当該政策等を必要とする原因又は背景
(2) 政策等の検討経過及び結果
(3) 他の自治体の類似する政策の状況及び当該政策との比較検討結果
(4) 政策案の策定に関して参考にした情報
(5) 町総合計画及び関係又は関連する計画における根拠又は位置づけ
(6) 政策案に関する法令、条例及び規則
(7) 政策案の実施に関る財源措置
(8) 将来にわたる政策案のコスト計算
(予算及び決算における政策説明資料の作成)
第8条 議会は、町長が予算案及び決算を議会に提出し議会の審査に付すに当たっては、前条の規定に準じて、町長に対し施策別又は事業別の分かりやすい政策説明資料の作成に努めるよう求める。
(法第96条第2項の議決事件)
第9条 法第96条第2項の規定による議会の議決事件は、次に掲げるとおりとし、行政全般にわたり重要な計画等について、議会と町長等がともに町民に対する責任を担いながら、計画的かつ町民の視点に立った透明性の高い町政の運営に資するものとする。
(1) 町の総合計画における基本構想及び基本計画の策定に関すること。
2 議会は,前項に定めるもののほか,町政の基本に係わる重要事項について必要と認めるときは議決事件として追加することができる。
第4章 討論の拡大
(討論による合意づくり)
第10条 議会は、議員による討論の場であることを認識し、議長及び委員長は、議員相互間の討議を中心とした運営に努めるものとする。
2 議会は、町長提出及び議員提出の議案及び町民提案に関して審議し結論を出す場合、議員相互間において十分な討論、議論を尽くして合意づくりに努めるとともに、町民に対して説明責任を十分に果たさなければならない。
3 議員は、討論において意思を表明するように努めなければならない。
4 議員は、前3項による議員相互間の討議を拡大するため、政策、条例、意見書等の議案を積極的に提出するよう努めるものとする。
5 議員間討議等に関する事項は、別に定める。
第5章 委員会の活動
(委員会の適切な運営)
第11条 議会は、社会経済情勢等により新たに生じる行政課題等に迅速かつ的確に対応するため、委員会の専門性と特性を活かし適切な運営に努めなければならない。
2 委員会は、町民からの要請に応じ、審査の経過等を説明するとともに、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する懇談会等を積極的に行うよう努めるものとする。
(災害対策委員会の設置)
第12条 大規模な災害が発生し、又は大規模な災害が発生するおそれがある場合には、議長は速やかに災害対策委員会を設置する。
2 委員会の設置に関する事項は、別に定める。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(議会及び議員研修の充実)
第13条 議会は、議員の資質及び政策立案能力の向上を図るため、行政調査等議員研修を実施する。
2 議員は、行政調査等終了後速やかに報告書を作成し、議長に提出するものとする。報告書は、他の議員等が閲覧しやすい場所に保管する。
3 議会は、研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、町民等との研修会を開催する。
(議会事務局の体制整備)
第14条 議会は、議員の政策立案能力の向上を図るため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。
(議会図書室の設置、公開)
第15条 議会に、議会図書室(以下「図書室」という。)を設置する。
2 図書室は、議員のみならず、誰もがこれを利用できるものとする。
3 議会は、議員の政策立案能力の向上を図るため、図書の充実に努めるものとする。
(議会広報・広聴の充実)
第16条 議会は、行政に係る重要な情報を議会独自の視点から、常に町民に対して公表するとともに、町民からの意見、要望等を伺い、その内容及び対応について定期的に町民に周知するよう努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と行政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第17条 議員の政治倫理は、別に条例で定める。
2 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
(議員定数)
第18条 議員定数は、別に条例で定める。
2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点及び他町村との比較だけでなく、行政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、町民の意見を聴取するため、参考人、公聴会制度等を十分に活用するものとする。
3 条例改正は、議員が提案するものとする。
(議員報酬)
第19条 議員報酬は、別に条例で定める。
2 議員報酬の改正に当たって、行財政改革の視点及び他町村との比較だけではなく、行政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、町民の意見を聴取するため、参考人、公聴会制度等を十分に活用するものとする。
3 条例改正は、議員が提案するものとする。
第8章 最高規範性と見直し手続き
(最高規範性)
第20条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会に関係する条例、議会規則、議会告示等(以下「議会関係条例等」という。)を制定してはならない。
2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例に関する研修を行わなければならない。
(議会及び議員の責務)
第21条 議会及び議員は、この条例の原則及びこれらに基づいて制定される議会関係条例等を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。
(見直し手続き)
第22条 議会は、必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを検証するものとする。
2 議会は、前項の検証の結果、議会関係条例等の改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講じるものとする。
附 則
この条例は、令和4年4月1日から施行する。