○下郷町議会政治倫理条例
令和4年3月25日条例第8号
下郷町議会政治倫理条例
(目的)
第1条 地域主権、地方分権の進展に伴い、地方自治体の責務は極めて重要となっており、地方議会の果たす役割も一層大きくなる中、議会には、より高い倫理観と識見が求められている。この条例は、下郷町議会を構成する議員(以下「議員」という。)が、町民全体の代表者として、また、町民全体の奉仕者として議員活動を行う際に遵守すべき行動基準(以下「政治倫理基準」という。)について定めるとともに、議員が、倫理に関し改めて認識を深め、議会に対する町民の信頼を確保し、民主的な町政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は、選挙で選ばれた町民の代表者としてその地位にあり、大いなる使命と重き任務と、より高き倫理的義務を負荷されていることを深く自覚し、法令を遵守して活動しなければならない。
2 議員は、自ら研鎖を積み、資質を高めるとともに、その品位の保持に努めなければならない。
3 議員は、公正な職務執行を妨げるいかなる不当な要求にも応じないものとする。
4 議員は、町民からの求めの有無にかかわらず、自ら率先して説明責任を果たさなければならない。
(町民の責務)
第3条 町民は、議員の活動及び政治姿勢に注目し、必要に応じ、議員に説明責任を果たすことを求めるものとする。
2 町民は、議員に対し、次条に規定する政治倫理基準に反するような働きかけを行ってはならないものとする。
(政治倫理基準)
第4条 議員は、政治資金規正法(昭和23年法律第194号)、公職選挙法(昭和25年法律第100号)並びに公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成12年法律第130号)等の公職にある者に対して適用される法律その他関係法令のほか、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 町民全体の代表者として、その品位及び名誉を損なうような行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 町民全体の代表者として、常に人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3) 政治活動に関して、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附を受けないこと。
(4) その地位を利用して嫌がらせをし、強制し、又は圧力をかける行為をしてはならない。また、いかなる場合にあっても、他の者が不快に感じるセクシャル・ハラスメント等の人権を侵害するおそれのある言動又は行為をしてはならない。
(5) 町(町が資本金、出資金その他これらに準ずるものを出資している法人を含む。以下同じ。)が行う工事の請負契約、業務の委託契約若しくは物品の購入契約(以下「請負契約等」という。)、指定管理者の指定に関して特定の業者のために推薦又は紹介その他の有利な取り計らいをしないこと。
(6) 町の職員(臨時職員等を含む。次号において同じ。)の公正な職務の執行を妨げ、その権限及び地位による影響力を不正に行使することを働きかけないこと。
(7) 町の職員の採用、昇任又は人事異動に関して、不当に関与しないこと。
(8) 町から補助金又は交付金等を受けている営利を目的とする法人その他の団体の代表等に就任しないこと。
(9) 本会議等開会時の葬儀及び告別式の出席は、親族を除き極力避けること。
(10) 新盆及び新彼岸等における金品の提供は行わないこと。
(11) 本会議等の欠席及び早退届はその理由を具体的に明記すること。
(税等納付状況報告書の提出)
第5条 議員は、次に掲げる税等の納付状況を記載した報告書(以下「報告書」という。)を毎年5月31日までに、必要な書類を添付して議長に提出しなければならない。
(1) 前年度分の町県民税、固定資産税、軽自動車税、国民健康保険税及び自動車税並びに前年分の所得税
(2) 前年度分の介護保険料、後期高齢者医療保険料並びに水道等使用料
2 議員は、前項各号に規定する税等に未納がある場合は、当該税等を完納しなかった理由及び今後の納付計画を記載した書類を報告書に添付しなければならない。
(審査の請求)
第6条 町民又は議員は、議員が政治倫理基準に違反する行為をした疑いがあると認められるときは、これを証する資料を添えて、町民にあっては選挙権を有する者の総数の100分の1以上の者の連署、議員にあっては定数の5分の1以上の者の連署をもって、その代表者は議長に対し、政治倫理基準に違反する行為の存否の審査を請求(以下「審査請求」という。)することができる。
(政治倫理審査会の設置等)
第7条 議長は、前条の規定による審査請求があったときは、下郷町議会政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置し、当該審査を付託しなければならない。
2 審査会の委員(以下「委員」という。)は、定数の2分の1以内とし、議員の中から議長が委嘱する。
3 委員の任期は、付託された審査の結果を議長に報告した日までとする。
4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(審査会の職務及び権限)
第8条 審査会は、付託された審査を行うため、当該審査の対象となっている議員(以下「対象議員」という。)及び関係者に対し、資料請求、事情聴取等必要な調査を行うことができる。
2 審査会は、対象議員に弁明の機会を与えなければならない。
3 審査会は、審査に当たり、町民又は学識経験者等からの意見を求めることができる。
4 審査会は、対象議員又は関係者が第1項の規定による調査に協力せず、又は虚偽の内容を報告したときは、その旨を議長に報告しなければならない。この場合において、議長はその旨を公表する等必要な措置を講ずることができるものとする。
5 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、出席委員の3分の2以上の同意を必要とする。
(対象議員等の義務)
第9条 対象議員及び関係者は、審査会から、資料の提供や審査会への出席を求められたときは、これに応じなければならない。
2 対象議員及び関係者は、審査会において、口頭又は文書により意見を述べることができる。
(審査結果の報告)
第10条 審査会は、議長が審査請求を受けた日から90日以内に、付託された審査を終え、議長に対してその審査結果を文書で報告しなければならない。
2 議長は、前項の規定による報告を受けた日から7日以内に、当該報告に係る文書の写しを審査請求した者の代表者及び対象議員に送付するとともに、当該報告の概要を町民に公表するものとする。
3 対象議員は、前項の文書の写しを受け取った日から14日以内に限り、弁明書を議長に提出することができる。なお、弁明書の提出があったときは、弁明書を公表するものとする。
(審査結果の措置)
第11条 議会は、審査会から報告を受けた事項を尊重し、対象議員が政治倫理基準に違反したと認められるときは、議会の名誉と品位を守り、町民の信頼を回復するため、各種委員の辞退、議会役職の辞退、議員辞職等の勧告その他の必要な措置を講ずるものとする。
(議長職務の代行)
第12条 議長が審査の対象になったときは副議長が、議長及び副議長がともに審査の対象になったときは年長の議員が、この条例に規定する議長の職務を行う。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
附 則
この条例は、令和4年4月1日から施行する。